銚子チョウシ地区の概況
1位 置
  銚子市は千葉県最東端にあって、南東は太平洋に面し、西は香取郡の北総台地に接し、北
 は利根川をはさんで茨城県波崎町に対しています。総面積は83.69kn了、東西16.20km、南北
12.80kmで首都圏100km圏内に位置しています。
2,自然的条件
(1)地  形
   銚子市は、利根川沿いの低地と北総台地からなり、表層は関東ローム層に覆われています。
  水田は台地山間の谷津田と利根川沿いに広がっており、畑地帯は台地の平坦部に位置し、
  比較的農作業に適しています。
(2)土  壌
   台地の畑土壌は火山灰土、土質は壌土で、地力は中程度です。表土の深さは20〜25cm程
  度で保水力に乏しく、特に、塩基固定力が高く酸性になり易い。有効土層の深さは1m以上
  に達し、地下水が低く干ばつの影響を受け易い。
   水田土壌は砂壌土で表土の深さは20〜25cm程度で浅く、保肥力に乏しく土地生産性は低い。
(3)気  象
銚子の月別平均気象状況
    月
区分
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 全年
平 均 気 温(℃) 7 6.9 9.4 13.8 16.9 19.7 22.6 25 23,0 18.7 14.3 9.4 15.6
最高気温の平均(℃) 10.4 10 12.2 16.8 19.8 22.3 25.4 27.8 25.4 21 17.2 12.7 18.4
最低気温の平均(℃) 3.2 3.2 65 10.8 14.3 17.5 20.5 22.9 20.9 16.2 10.9 5.6 12.7
降  水  量(mm) 81 85 189 113 141 139 133 106 270 248 140 57 142
日 照 時 間(h) 172 162 152 188 183 138 160 223 147 143 149 171 165.6
(銚子地方気象台)
3 交通輸送条件
  道路網は、幹線道路の国道126号が松尾で千葉東金道路に、国道356号が佐原香取インター
 より東関東自動車道路に接続し、都心まで約2時間で達することができます。また、既に開
 通した広域営農団地大規模農道(東総地区)により、国道356号と国道296号が結ばれ、京浜
 市場への輸送時間が短縮されましたが、更に東総台地を南北に結ぶ新たな広域営農団地農道(東
 総台地地区)の建設事業を積極的に推進しています。
  鉄道網は、JR総武本線及び成田線により、都心と2時間で結ばれています。
4 市場条件
  農産物は、主にトラック便で輸送されており、主な出荷先である京浜地域の中央卸売市場
 へは、2時間30分で輸送されています。また、市内には民間青果市場が開設されており、生産
 物の販売条件には比較的恵まれています。
第2 農業の概要
  銚子市の総耕地面積は2,327haで、うち水田面積は675ha、畑面積は1,652haで畑地率が71.0%
 と高くなっています。
  農家数は1,592戸で、うち専業農家723戸、第1種兼業農家373戸、第2種兼業農家496戸で、
 専業農家比率45.4%と千葉県平均16.6%をかなり上回っています。
  農家1戸当たりの耕地面積は146aで、経営耕地面積規模別農家数では150a〜200a規模の農
 家が289戸と最も多く、総農家数の18%を占めています(平成8年2月)。
  農業粗生産額(平成9年)は21,904百万円(県内1位)で、その構成は耕種部門(米を除く)
14,861百万円と全体の67.8%を占め、次いで畜産5,837百万円、米1,206百万円となっています。
 特に、野菜については、14,233百万円で総粗生産額の65.0%を占めており、農業生産の中心と
 なっています。
※キャベツ
1 沿 革
 キャベツの栽培は、温暖な気象条件を生かし「甘らん」の名で、昭和28年から始まりました。
それまでは、原料さつまいもと麦類の輪作が主体で、野菜類は高神地区の一部の農家が直売用
として栽培していました。
 昭和27年頃から麦類の枯れ上り現象が強くなり、収量が激減し始めたことから昭和29年、冬
期の温暖な地区を対象に園芸振興対策の一環として、農村青年による4Hクラブ農事研究会を
中心に早生品種の「富士早生新一号」の栽培を決定しました。翌昭和30年から集団化栽培を積
極的に推進するとともに、市の補助により高神地区に展示囲を設置し優良品種の選定を行いま
した。昭和31年、極早生でFlの「金盃」を優良品種に指定し、栽培面積の拡大、県経済連の指
導等により共販共計を実施しました。その後、各地で栽培意欲が高まり、産地体制・販売体制の
確立を図るため、昭和32年に「灯台印」銚子市読菜出荷組合連合会を結成し、集団栽培の第一歩
を踏み出しました。昭和36年には千葉県特産地の指定、翌37年には国の園芸特産地指定を受け、
続いて昭和41年に国の指定産地の指定(昭和53年冬キャベツ産地指定)を受け、生産の安定、
出荷の近代化を進め、全国を代表する春系品種のキャベツ産地を形成しています。
2 組織構成等
 銚子市蔬菜ソサイ出荷組合連合会は、平成4年に椎柴・豊里地区が加入し、全市的な組織となりま
した。その後、平成6年10月に銚子農協大根部会、銚子農協とうもろこし部会の3組織が統合し、
「JA銚子野菜連合会」が設立されました。
 収穫物はこの生産組織を通じ農協に委託販売され、県経済連の分荷により京浜、東北市場に
出荷されています。
 また、昭和57年から定数詰めが実施され、規格の均一化が図られ、専任検査員による検査体
制も強化されています。更に、平成6年3月から出荷段ボール箱の規格が15kg入りから10kg入
りに変更され、平成7年11月からは12〜2月の厳寒期を除き大型予冷施設(グリーンホーム)
による全量予冷処理を実施するようになりました。
3 技術と経営の特色
 キャベツ栽培における特色は、当初4月中旬〜5月収穫を目標とした作型でありましたが、
キャベツの端境期をねらった3〜4月収穫の前進栽培が試みられるようになりました。その後も、
葉が柔らかく食味の良い春系品種の「金系201号」の導入とともに作期が拡大しました。また、
収穫間際のキャベツの畝間に次の苗を定植する「二番ざし」が昭和50年頃から普及するように
なり、作付面積の一層の拡大が図られるようになりました。
栽培が難しい厳寒期収穫には、耐寒性の強い「YR春系305号」などの品種が導入され、10月下旬から
6月まで切れ目ない長期間安定出荷をしています。経営規模は平均1・42ha(農業従事者2.8人)ですが、
専業だけをみれば2.5ha近くになります。土地利用率も高く、キャベツの2期作と夏作を加えると200%近くになります。
 一方、ブームスプレイヤーを用いた大型機械もかなり普及しており、それにより規模拡大も徐々
にではあるが進んできています。また、移植機についても、乗用半自動移植機が500台以上導入
されており、全自動移植機の試験やセル成型苗の利用も徐々に増えています。地力対策や連作
障害対策にも積極的に取り組んでおり、有機肥料の投入や性フェロモン剤によるコナガの防除
なども推進しています。
※だいこん
1 沿 革
 本市におけるだいこん栽培は、自家漬物用として明治初め頃から栽培されていました。そ
 の後、昭和20年代になって、一部行商用として秋系品種が中心に栽培されるようになりました。
 昭和30年代後半には、農協を中心とした系統出荷体制に入り、作付面積も年々増加してい
 きました。昭和41年に秋冬だいこんの産地指定を受け、三交大根を中心に約100haの栽培面積
 になりました。その後、昭和52年より新時無系大根のトンネル栽培が導入され、翌53年には
 その栽培面積は約30ha、191名の栽培者となりました。
 トンネルだいこんは、11月には種し3月収穫を中心とした作型で、他産地も少なく有利性
 が高いものでしたので、以後、毎年作付面積が増加し、55年には栽培者380名で栽培面積
 約100haになりました。
 また、新品種については、54年天春大根が4ha試作され、好結果であったので、その後、作
 付けが急激に増加しました。昭和61年2月に春だいこんの産地指定を受け、平成2年度からは
 消費者ニーズに対応した超低農薬有機ブランド栽培が開始されました。現在では650haを栽培し、
 全国第一位のトンネルだいこん産地となっています。
2 組織構成
 だいこんは、当初、銚子市読菜出荷組合連合会で扱っていましたが、昭和53年3月11日に
 銚子地域大根連絡協議会が、だいこんのみの生産組織として会員191名で設立されました。そ
 の後、昭和57年1月14日に銚子農協大根部会が設立され、共販・共計、検査体制の導入、生
 産技術指導を行うなど全市的な組織となりました。
 平成6年10月5日に銚子市読菜出荷組合連合会、銚子農協とうもろこし部会の三組織が統合し、
 「JA銚子野菜連合会」が設立されました。
3 経営の特徴
  冬の比較的温暖な気候により、厳寒期でもビニールー枚程度の被覆で野菜栽培が可能で、
 市場性も高いことから、露地栽培から集約的なトンネル栽培にかわってきました。
 トンネル栽培は、11月からは種し、野菜類の比較的少ない2〜4月に出荷するものですが、
 比較的作業負担が係ることや夏作物の準備と重なるため、専従者一人当たり30a程度が限界です。
 収穫量は、10a当たり600ケース(1ケース10kg入り)です。
4 今後の課題と方向
 現在、だいこんの品種は戦国時代といわれるほど品種が多く、中でも青首系品種が主流を
 占めています。また、食味の良いだいこんが消費者に好まれているため、甘いだいこんの生
 産に各産地とも努力しています。
  本市でも青首系春だいこんヤク650haを中心に栽培されているため、他産地と出荷時期が競合す
 る状況にあります。このため、品種にあった作型を指定して統一を図り、トンネルだいこん
 の良さを消費者に十分PRしていく必要があります。
※とうもろこし
1 沿 革
 現在、食用とうもろこしの作付面積は約150haありますが、その歴史はごく浅いものです。
 昭和20年代にごく一部(椎柴地区)で栽培され、その後、マルチ栽培によるゴールデンクロ
 スバンタムが個々に生産されていました。それが飛躍的に増加したきっかけは甘味種のハニ
 ーバンタムの出現(昭和46年)とキャベツの連作障害による地力低下を緩和するためにその
 茎葉を緑肥作物としてすき込むことを目的とした栽培が増加したためです。昭和61年よりピ
 ーターコーンが、平成7年よりキャンベラが導入され、現在に至っています。
 栽培の実情は、150haという栽培面積にかかわらず、ほとんどがキャベツの二番(4月下旬
 〜5月収穫)の後作として露地栽培されるため、収穫期が7月下旬〜8月上旬に集中してい
 ます。品質について市場評価も高く、昭和57年度に真空予冷施設が導入されたことを契機に、
 栽培方法が見直されるようになり、計画的作付による作期の拡大・分散と良質生産の意識が
 高まりつつあります。
2 組織構成
 以前は、各地区の出荷組合ごとに集出荷業務を行っていましたが、昭和57年に銚子農業協
 同組合が真空予冷施設を導入したことを契機に、昭和58年4月に銚子農協とうもろこし部会
 が設立され、共販・共計、生産技術指導、検査体制の強化を行うようになりました。その後、
 平成6年に銚子市読菜出荷組合連合会、銚子農協だいこん部会の三組織が統合し、「JA銚
 子野菜連合会」が設立されました。
3 経営の特徴
  当初の品種はほとんどがハニー種でしたが、昭和61年よりピーターコーンが、平成7年よ
 りキャンベラが約40ha導入され、出荷時期により早生、中生を使い分けています。
  また、平成10年から「味」を重視した消費者からの要望から、黄粒種の「味来」が導入さ
 れました。
  栽培方法は、従来の除けつ栽培から無除けつ無除房の放任栽培へ転換が図られ(早生種)
 適期かん水と予冷出荷により良質生産体制の確立が図られつつあります。
  夏作はすいかやメロンが中心になる傾向にありますが、かなり集約的で作付規模にも限界
 があります。そのため不作付地が多くならざるを得なくなりますが、その解消を図るための
 作付体系に占める食用とうもろこしの栽培は重要なものといえます。
4 今後の課題と方向
 平成7年より導入されたキャンベラは消費者には好評でしたが、根張りが不良で倒伏しやす
いなどの問題点があり、今後の栽培技術の確立が課題となっています。
 また、輪作体系の中で、西部地区においてはだいこんとの組み合わせにより早出しが可能
となりますが、東部地区においてはキャベツの二番の後作となるため出荷時期が遅れるとい
う問題があります。キャベツの二番は、キャベツの連作障害を助長してしまう結果につなが
るため、食用とうもろこしの早出しを導入することで、二番を極力廃止して労力分散を考え
た計画的作付により、地力の維持を図っていくことが産地として望ましい形態です。
 現在ゲンザイは、食味ショクミい「味」をメインに販売しており、立会タチア検査ケンサ連日レンジツオコナ品質ヒンシツ管理カンリ
の充実を図っております。